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先輩移住者の声
先輩移住者の声 Voice of seniors.
第1回 移住者トークセッション

金沢での暮らしや移住促進策について
先輩移住者8人が意見を交換

金沢市役所会議室|2018.7.26
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移住・定住相談窓口

先輩移住者による意見交換会が、7月26日(木)に金沢市役所で開催され
全国各地から金沢に移り住んだ8名が、住んでみて分かったリアルな金沢事情や
今後の移住促進に向け行政に期待することなどについて話し合いました。

中山間地についても情報発信を

 まず、話題に上ったのは移住する場所に関しての情報発信のあり方でした。金沢の中でも藩政期から市街地を形成していた「まちなか区域」にある材木町で陶芸工房を営む中田雄一さんは「移住者に発信する情報には金沢の中山間地の情報が含まれていない。移住希望者にもいろんなタイプの人がいるので、まちなかだけでなく、中山間地や市街近郊なども含めて情報発信することが必要」と指摘しました。
これに対し、「まちなか区域」にある野町で金澤町家を改装した簡易宿所を経営する町家由美子さんは「まちなかでの暮らしは歴史や伝統を感じられ、私としては住みよく感じるが、人間関係が面倒臭そうだからと郊外の新しい宅地を選ぶ人もいる。市が情報発信するだけでなく、実際にそれぞれの場所に移住した人が感じていることを話す機会があれば参考になるのでは」と応じました。
「観光地の近くは住みづらいイメージがある」という指摘に対しては、金沢の人気観光地のひとつ「ひがし茶屋街」の近く、東山で金澤町家を改装して建築事務所を営む北出健展さんが「繁華街や観光スポットは賑わう一方、その周りは思いのほか静かで、良好な住環境が保たれている。ネガティブな情報ではなく、いい面が残っていることを地道にPRすべき」と話しました。
また、北出さんは「中山間地は環境がよく、価格も手頃」とした上で、「中山間地への移住を活性化するには、都市計画法の障壁を緩和し、発信力のある個人がうまく入っていけるようにしてほしい」と提言しました。

町家の売り主と移住者をつなげたい

 金沢に移住する場合は古くから残る町家に暮らすのも選択肢のひとつになります。とはいえ、町家を探している人に比べ、売り出されている物件数が少ないのが実情です。
このことについて、町家さんは「家を売りたいと思っていても、どんな人が引っ越してくるか分からない、環境を変えてほしくないとの思いから、近所の人にしか声を掛けないケースも多い」と話し、「ある程度人となりが分かれば売ってくれる場合もあるので、売り主と移住者をつなげていきたい」と意欲を示しました。
現在、金澤町家を購入し、改修している須田暁憲さんは「うちの場合は不動産会社で売りに出ていた物件を購入し、その後ご近所にあいさつに回りました。地域の人はどんな人が買ったのかを気にしているので、いったん顔を見てもらって言葉を交わすと安心してもらえるのでは」と今後の購入希望者に対してアドバイスしました。
暁憲さんの妻、須田麻佑子さんは住まい選びで重視したことについて、「まちなかで車1台で事足りる生活がしたかったのでバスが走っている圏内を探した」と話し、「売り主も町家の取り壊しは望んでおらず、私たちもその考えに共感した。リノベーションして住み継いでいきたい」と続けました。

希望の保育園に入れない場合も

 参加者の中には子育て中の方も多く、話題は金沢市の子育て環境にも及びました。とりわけ話題になったのは金沢市の待機児童数がゼロという点についてでした。
須田麻佑子さんは「移住前は千葉の保育園に子どもを預けながら、東京で働いていたので、もし地震が起きたらどうしようと不安に思うこともあったが今はそういう心配がなくなった」と笑顔を見せます。
一方で、統計的には待機児童ゼロなのですが、「望むところに入れない」(須田麻佑子さん)、「未満児の場合も難しい」(中田さん)など、場所や年齢によってはミスマッチが生じており、希望する保育園に入ることができないケースもあるとの声も挙がりました。
また、町家由美子さんは「保育園ごとの特徴は移住者には分からない。そうした情報も分かると助かるのでは」と意見を述べました。

通勤のストレスがなく時間に余裕

 移住者にとっては仕事も気になるところです。移住前に東京で勤務していたNPO法人で、今もテレワークというかたちで働く須田麻佑子さんは「仕事が好きなので、通勤がなくなり、仕事に割ける時間が増えたことがうれしい。金沢の企業がいろんな働き方を認めてくれれば、移住しやすくなるのでは」と話しました。
「田舎の出身なので東京の通勤はストレスだった」と話すのは東京に本社を置く映像制作会社に勤める上野崇さんです。この会社では金沢市のクリエイター誘致事業を活用して平成28年に金沢に拠点を設けました。その際、自ら手を挙げて金沢に移住したのが上野さんでした。
上野さんは金沢市にあるサッカー、野球、バスケットボールといったプロスポーツチームの広報についても話題を広げ、「金沢は街並みもきれいで、工芸などを評価する市民の目も厳しい美的感覚の高い街。プロスポーツも金沢のイメージを形成するブランド要因のひとつで、スポーツが移住の起点にだってなる。チームの広報ツールなどもますます洗練され、金沢の景観や工芸のように、地域内外から注目されていくことに期待したい」と話しました。
これを受けて須田麻佑子さんは「例えばポスターのデザインなどに、東京や大阪で活躍している金沢の人が関われる機会があるといい。地元との接点が増えることでUターンのきっかけになるのでは」と提案しました。

移住体験のコーディネートに意欲

 移住者目線での情報発信、移住者と移住希望者との交流を図るため、金沢市が計画している“先輩移住者によるネットワーク”についても意見交換しました。
東山の町家でカフェを経営する北出美由紀さんは「どんな人が住んでいるか、あるいは繁華街や各スポットへのアクセスはどうかなど、住んでみて初めて分かるその街の特徴があるので、そういうネットワークがあれば、先輩移住者としてお伝えできることがあるかも」と賛意を示しました。さらに「金沢ではまちなかで頻繁に金沢らしさを感じさせるイベントが開かれているので、そこに足を運んでもらえば、金沢で暮らす楽しさや地元で活動される方の雰囲気がつかめるのでは」と話しました。
また、須田麻佑子さんは家探しをしていた際に苦労した経験を踏まえ、「例えばウイークリーマンションを手頃に借りられたり、託児サービスを利用できたりと、移住前の家探しをサポートする仕組みがあると助かる」と話しました。
大阪から地域おこし協力隊員として中山間地に赴任している松田優樹さんは「実際に移住する前にお試しで何泊かしてみたかったが、実施期間と自分の都合が合わなかったり、価格が高かったりして移住体験ができなかった」と自らの経験を話し、「中山間地への移住体験を希望する人がいれば、コーディネート役を務めたい」と意欲を示しました。

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