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先輩移住者の声
先輩移住者の声 Voice of seniors.
第2回 移住者トークセッション

移住者と山野市長が
生活や仕事について懇談

金沢市役所会議室|2018.9.25
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金沢へIターン・Uターンしてきた移住者6名と山野之義市長による意見交換会が9月25日に
金沢市役所で開催され、実際に暮らしてみて良かった点や残念だった点などについて語り合いました。
ここではその内容をダイジェストでご紹介します。

金沢市長プロフィール
山野 之義市長

石川県金沢市出身。大学進学時に上京、サラリーマン勤務を経て、
1995年、金沢市議会議員に初当選。以降4期務める。
2010年、金沢市市長に初当選し、現在2期目(意見交換会当日現在)。

参加者プロフィール
上野 崇さん

新潟県出身。東京に本社のある映像制作会社に勤務。同社が金沢に拠点を開設するのに合わせ、2016年に移住。

須田 暁憲さん、麻佑子さん

暁憲さんは千葉県出身。麻佑子さんは石川県加賀市出身。本社が東京にある会社に勤めていた頃、配属先だった金沢で知り合って結婚。その後、都内や千葉県での暮らしを経て2016年に移住した。暁憲さんは市内のコンサルティング会社に勤務、麻佑子さんはリモートワークで移住前に勤務していた東京のNPO法人に勤めている。

手島 シークリンデさん

石川県金沢市出身。大学進学時に上京し、以降18年間を東京で過ごす。2015年に金沢にUターン。アパレル業界で広報に携わった経験を生かし、飲食店のプロデュースなどを手がける。

町家 由美子さん

大分県出身。石川県加賀市にある山中温泉で働き、1997年に金沢に移住。現在は金澤町家を改装したゲストハウスを経営している。

松田 優樹さん

大阪府出身。地域おこし協力隊の隊員として2018年に金沢市の中山間地、三谷地区に移住。同地区の魅力発信・活性化に取り組む。

必ずしも「地方=自然が豊か」ではない

山野 お集まりいただき、ありがとうございます。今日は先輩移住者の皆さんが金沢で生活する中で感じていることを聞かせていただき、今後の情報発信や移住を考えている方へのサポートに役立てていきたいと思っています。
まずは上野さん、移住から2年がたって、どんなことを感じていますか。こんなはずじゃなかったなど、ぜひマイナス面の感想を聞かせてください。

上野 移住前は「地方=自然が豊か」と考えていて、金沢に来たら生活ががらっと変わるかなと期待していたのですが、意外と東京にいた時と変わらないというのが実感です。確かに自然はあるのですが、結局、自分から求めて行かないといけなくて。

山野 例えば松田さんが住んでいるような中山間地でも、市街地まで車を使えば30分ほどでアクセスできますから、周囲に自然が広がるような環境を望んでいる方は、そうした場所に住む方がいいかもしれませんね。

上野 そうですね。今は市内の中心部に近い住宅地に住んでいますが、通勤に車で20分ほどかかっていますから、もしそういった情報を移住前に知っていれば、住まい選びも変わっていたかもしれません。
話は変わりますが、金沢で暮らすようになってからは、市内の道にでこぼこが多かったり、段差があったりして、ベビーカーを押しづらく、自転車も乗りづらいと感じました。もっときれいだといいのですが。

山野 これは地元の人も痛感しています。金沢の街は戦災に遭っておらず、大きな自然災害にも襲われていません。そのおかげで古い街並みが今も残っているのですが、一方で狭い道路がそのままになっていたりします。もちろん、市としては必要に応じて対応しています。とはいえ、すべてを整備するのはマンパワー的にも予算的にも厳しいため、市民からすれば後追いの対応に見えるかもしれません。

東京の仕事も不都合なく

山野 須田さん夫妻も移住から2年がたちました。移住のきっかけを教えてください。

須田(麻) 結婚後、将来の生活を考えたときに、通勤に時間がかかって家庭に時間を割けないとか、仕事で疲弊して1週間が終わるのは嫌だなと思い、地方への移住を考え始めました。じゃあどこにするかという時に、私たちが知り合った金沢が候補になったんです。

須田(暁) 古い街並みや文化が生活に根付いている金沢にすごく魅力を感じました。また、仕事を変えて東京で働くようになってからも、長時間通勤などに疑問を持ち、金沢で生活したいという思いが強くなっていきました。

山野 麻佑子さんはリモートワークというかたちで東京のNPO法人の仕事をしていますが、不都合はないですか。

須田(麻) 仕事の面で不都合はないですね。ただ、東京の人としかつながりがなくて、なかなか地元の知り合いが増えません。それに仕事を通じて身に付けたスキルを地元に還元できないことにも課題を感じていて、最近は東京の仕事を週5日から4日に減らして、週1日は金沢で簡易宿所を経営している会社で働くことにしました。

山野 なるほど。人間関係を広げていくためには、自分から動かないとダメだということですね。暁憲さんはいかがですか。

須田(暁) 私は金沢の会社に勤務しています。街がコンパクトなこともあって、プライベートの場で仕事関係の知人と顔を合わせたり、その逆もあります。ですから人間関係が作りやすく、その分、仕事も広げやすいと感じています。

小学校にカモシカの姿が

山野 手島さんは私と同じUターン組です。二人のお子さんを育てていらっしゃるそうですね。

手島 はい。以前住んでいた場所は東京でもベビーカーを押しているすぐ横を車がびゅんびゅん通って、絶対に子どもの手を離せないような環境でしたが、金沢に来てからは、キャンプや川遊びをしたり、能登まできれいな星空を見に行ったりと、ここでの暮らしを満喫しています。
子どもは市内でも冬にカモシカが現れるような山の方にある小学校に通わせています。せっかく育てたサツマイモをイノシシに食べられちゃうなど、山の厳しさや四季折々の自然を感じながら、学校生活を送っています。

山野 山の方にある学校だと、冬に雪が降った際、不便だと思われる方も多いですが、そういう場所は真っ先にブルドーザーで除雪しますから、アクセスは問題ないですよね。
ところで、仕事はどのようなことを?

手島 アパレル業界でPRの仕事をしていた際の経験や人脈を生かし、現在は飲食店のプロデュースや企業の広報のコンサルティング、新商品のセールスプロモーションなどを手がけています。飲食店のプロデュースであれば、市場調査から物件探し、仕入れ先の開拓、メニュー開発、人材の採用・研修まで、全部お手伝いしますよ。出版社から金沢での取材・撮影のコーディネートや情報提供を頼まれることもよくあります。

山野 私は金沢の特集を組んでくれた出版社には、東京出張の際、必ずお礼に伺うようにしています。もちろん、お礼を兼ねて、今度はこういうイベントがありますから取材してくださいとPRするわけです。出版関係の仕事については、協力し合えることがあるかもしれませんね。

市の起業塾が大きな助けに

山野 私は町家さんのことを金沢の人だと思い込んでいましたが、移住して20年になるそうですね。今はゲストハウス経営されていますが、当初から起業を目指していたのですか。

町家 そうではないのですが、伝統的な街並みや金澤町家に魅了されていたこと、接客が好きだったことに加え、子育てと両立しながらやっていける仕事をと考え、たどり着いたのがゲストハウスでした。無理なく、行き届いたおもてなしをできるように、宿泊客は1日1組限定にしています。

山野 女性が一人で事業を始めるのは、金融機関からの資金調達をはじめ、高いハードルがあったのではないですか。

町家 宿泊業は未経験でしたから金融機関の審査はとても厳しかったですが、諦めずに何度も通ったおかげで融資を受けることができました。金沢市が主催する「かなざわ女性起業塾」に参加して、講師を務める萩原扶未子先生に相談に乗ってもらったり、金沢市のアドバイザー制度を利用して専門家の意見を聞けたりしたことも、大きな助けになりました。金沢市には働く女性のための支援策がいろいろありますし、今後は私自身も開業を目指す方のお手伝いをしていきたいと思っています。

山野 萩原さんが以前、「自分が思いを持って、市役所をうろうろしていれば、必ず助けてくれる人が出てくる」と話していたことが印象に残っています。町家さんも起業塾などに顔を出すことで助けられたというわけですね。

町家 はい、私自身も人とのつながりにすごく助けてもらいました。誰かに会うにしても、信用できる人に仲介してもらえば、話がスムーズに進みます。

山野 これから起業に挑戦する人、特に信用力、経済力がまだないような人にはヒントになる話です。これからも、ぜひ頑張ってください。

里山でも市街地へのアクセス良好

山野 松田さんは地域おこし協力隊員として金沢の中山間地、三谷地区に移住されました。そのいきさつを聞かせてください。

松田 以前住んでいた大阪で生活しにくいと感じ、自然が豊かな地方への移住を考えるようになりました。当初は日本全国どこでもよかったのですが、いろいろ探すうちに、食べ物がおいしくて、都市とも近く、子育て環境も良好な金沢を選びました。

山野 実際に住んでみて良かった点や残念な点はどこでしょうか。

松田 自然に囲まれた環境で、スーパーなどは近くにありませんが、車を30分ほど走らせれば、買い物をしたり、いろんなところに行けますので、生活する上で不便は感じていません。里山移住という観点から見れば、これは他地域に比べ金沢の強みだと思います。妻は買い物などでは都市部に比べて選択肢が少ないとこぼすことがあります。ただ、生活の利便性と自然環境のバランスがよく、とても楽しい私生活を送っています。子どもも外で自由に遊べる環境を楽しんでいます。

山野 仕事の面で感じることや行政に対する要望はありますか。

松田 三谷地区は人口の減少、特に児童数の減少が最大の課題です。とはいえ、先ほどお話ししたように生活にはあまり不便がありませんから、住民の危機意識はそれほど高いわけでなく、そこに難しさを感じています。また、4つの校下が合併して1つになった地域ですので、元々別々の校下だった人を結びつけるのにも苦労しています。活動を始めて半年足らずでこの地域では空き家への取り組みは進んでいませんが、今後は移住希望者が現れた際に受け入れられるよう、活用できる空き家の調査などから始めていきたいと考えています。

山野 その点についてはまた連携してやっていきましょう。
市としては今後、年に1回程度こうした意見交換会を行い、施策の検討に生かすとともに、皆さんの力を借りて移住検討者への情報発信などを行っていきたいと考えていますので、またご協力をお願いします。本日はありがとうございました。

CITY HALL OFFICIALS