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天然木や畳、和紙など、本物に囲まれた生活空間にほっと心が和みます。

天然木や畳、和紙など、
本物に囲まれた生活空間に
ほっと心が和みます。

一級建築士、あとりいえ。代表 やまだのりこ さん

金沢に移住する場合は、町家暮らしも選択肢の一つです。そこで、一級建築士で町家の改修に携わった経験も豊富なやまだのりこさんに、町家の魅力や理想の町家ライフを手に入れるためのポイントについて聞きました。

町家の魅力はどんなところにありますか。

やまだ町家の魅力はすべてにおいて本物で、天然の素材が使われているところにあると思います。今の住宅では塩化ビニルの壁紙や樹脂製の床材など、いわゆる新建材が多く用いられます。一方、町家では天井や床の材料に天然の木が使われているほか、畳や塗り壁、障子やふすまといった間仕切りも昔から使われているものばかりです。また、1軒1軒に個性がある点も魅力です。照明や戸板など、ちょっとしたところに粋な細工が凝らされていたりして、当時の大工さんの心意気や技を感じることもできます。そんな空間にいると、ほっと心が和みますね。

やまださん自身も昭和3年(1928年)に建てられた町家を自宅兼事務所として使っています。実際に生活する中で、町家の良さを感じるのはどんなときですか。

やまだ夏は涼しく、湿気もあまり感じずに快適に過ごせます。これはどの町家にも共通して言えることですが、例えば4枚ある窓を全部、戸袋にしまい込んで全開にできるといったように、町家は今の住宅よりも開口部を大きく取れるようになっています。その分、風通しは抜群で、私は夏でもエアコンを使わないほどです。また、床の間も気に入っていて、四季折々の掛け軸で飾ったり、香炉を置いたりして楽しんでいます。床の間は不要だから、収納スペースにしたいと考える人も多いでしょうが、床の間を楽しむことが心の豊かさや気持ちのゆとりにつながっているような気がします。町家には庭が付きものですから、庭づくりも楽しみの一つです。

逆に不便な点はありますか。

やまだ私が住んでいる町家は借家で、断熱改修をしていませんから冬は寒いですね。実は私の実家も古い町家です。間口が狭く、奥に向かって細長い土間がウナギの寝床のように続き、座敷や明かり取りの中庭があるというオーソドックスな間取りです。昼間でも暗 くて、部屋は障子やふすまで仕切っているだけなので、思春期のころはプライバシーが保ちにくい点が嫌でしたね。ただ、先ほど話したような点に価値観を感じられる方には町家がおすすめです。

戦災に遭わなかった金沢には多くの町家が残されています。古い町家やしばらく人が住んでいなかった町家に住む際は改修も必要ですね。

やまだそうですね。まずは柱や梁など構造体が傷んでいないか、チェックする必要があります。安価な物件でも、構造体を直すと改修コストも高く付きますから、注意してほしいと思います。ただ、素人には判断が難しいので、購入を検討している段階から建築士と一緒に現場を見て、アドバイスを仰ぐことをおすすめします。構造体に問題がなくても、キッチンや風呂、トイレといった水回りは傷みやすい箇所なので、ほとんどの場合は改修が必要です。このほか、床下や屋根裏に断熱材を敷き込んだり、二重サッシにしたり、住む人の要望と予算に合わせて改修していくことになります。構造体がボロボロの町家を無理に改修して残す必要はないと思いますが、金沢では比較的いい状態の町家がまだ残っていますから、住んでもらって受け継がれていけばいいですね。

金沢にはいろんなタイプの町家があります。自分にあった町家を探すこつを教えてください。

やまだやはり多くの物件を見るしかないと思います。地域の不動産会社はもちろん、金澤町家情報バンクNPO法人金澤町家研究会のホームページにも情報が公開されていますから、こまめにチェックしてみてください。まず町家がどんなものかよく知りたいという方は、私が主催している「おくりいえプロジェクト」に参加するのも一つの手です。これは、改装や取り壊し前の町家をボランティアで清掃する取り組みで、平成21年(2009年)以降、32軒で行ってきました。内部の様子や構造がよく分かりますし、町家に残されていた家具や日用品を持ち帰ることもできます。
最新情報はホームページ(http://okuriie.jp)で発信していますので、ぜひご覧ください。

プロフィール
やまだのりこ
石川県加賀市出身。平成10年(1998年)に金沢工業大学工学部建築学科を卒業。金沢市内の設計事務所に勤務した後、「あとりいえ。」を設立。金沢工業大学、金沢美術工芸大学の非常勤講師を務める。金沢市在住。